ダークナイト
- 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
- 発売日: 2010/04/21
- メディア: DVD
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政治に参加するとか、社会運動を展開するとかいろいろあるが、突き詰めていくと自警という行為になってしまうのか。
映画のなかでヒーローについて論議されていて、選挙によって選ばれた高潔な人物「光の騎士」への期待が高まるけれども、やはり完璧な人間は存在しない。私憤によって復讐に駆られていく。となると、法を犯す、裁かれるハンディを背負いつつも、個人で高潔さを貫く「闇の騎士」というやり方が成立するのかもしれない。とても危ういやり方だ。まぁ「ダーティハリー」なんだな。
この映画が上手なのは、騙すものが騙されるみたない話を要所に挟んでいるところにある。ブルースは真実を隠しても、高潔というイメージを社会のために守ろうとするのだが、そのブルースも自分に愛想を尽かしたレイチェルの心中を知らず、虚構の上で自分を支えている。
映画全体の重苦しさは、すべてが混迷の上に危うく立っているところにある。それがまた深みとなり、主人公の強さと弱さを引き立てて、「キック・アス」のような作品をも生み出すことになっているのだと知った。とても、面白かった。