ゾルゲの見た日本 (後)
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- 作者: みすず書房編集部
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 2003/06/01
- メディア: 単行本
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ゾルゲに関しては、単なるスパイとか愛国者ではなく、世界の平和を目指した人物という評価があります。例えばこことか。確かにナチスの敗戦を決定的にした仕事をしたわけですが、ちょっと美化しすぎてないか? しかし、異国の地で、本国の指導者の意図とは独立したような活動をしたがために、スターリンに疎まれ見殺しにされてしまったという結末を、そのように読み込むのも、まぁいいかもしんない。
ナショナリズム―名著でたどる日本思想入門 (ちくま新書)という本の第一章に取り上げられていた石光真清のことを思い出しました。シベリア出兵の時代に現地でスパイ活動をした人物ですが、純粋なナショナリストであるがゆえに日本陸軍の粗暴さを上申して、「君は誰のために働いとるんだ。ロシアのためか。」と言われて、任務を辞したということです。西光万吉もそんなところがあるなぁ。理想の神国を求めるが故に、現実の日本帝国から疎まれてしまった、みたいな。
マルキシズムもナショナリズムもデモクラシーも、基本的にはコスモポリタンなこと謳い文句にするんですよね。五族協和とかね。でも、現実国家がそれをやりはじめれば必ず、独善的独裁に成り果ててしまう。そして、真のコスモポリタンは、現実の国家を超えてしまう以上、国家に必ず排除されてしまう運命にある。
どうしようもないですなぁ。この、逆説は。