ヘブン・アンド・アース 天地英雄

 西遊記の逆ルート、天竺から長安へ、シルクロードでの騎馬戦。アクションとしては、なかなか珍しくて楽しめるのですが、脚本がどうもオレには合わなかった。
 無抵抗の敵を処刑しなかったがためにお尋ね者にされてしまった軍人と、彼を懲罰するために西域にまでとばされてしまった遣唐使中井貴一)。この二人が、あらゆる仏教国を従える魔力を持つ仏舎利を大唐帝国に運ぶために、なぜか命を懸けて戦うって、そりゃ、ちと無理な設定ですよ。コミック版「風の谷のナウシカ」のように、人々をひざまずかせるものを二人が破壊するという筋書なら面白いんだが。
 大唐帝国三蔵法師を遣わして仏典を求め、国家事業として翻訳させたのがどういう目的だったのかが、よく描かれていると思う。つまりは釈尊のカリスマ性を、そのまま国家の権威を高めるために利用しようとしたわけです。それにいまだに乗せられて、方角にとらわれてる人が現代でもたくさんいる。西にほんまもんの仏教があって、ここにはないなんて情けない。仏教は方角や教祖や仏像や建物や教学にあるのではない。それに手を合わせる人々のところに生きているのが仏教なのだ。だからこれからは、仏教に依っていきたい人の、手を合わせた方向を西方浄土と呼ぶことに、決定しましょう。
 あおさんの西遊記(大唐西域記?)作成の意図なんてのも面白い。
 あと、ヴィッキー・チャオという女優さんがすごくかわいくて、調べてみたら「少林サッカー」のヒロインじゃないですか! ファンになってしまいました。。。