デスノート 前編

 書き込んだことが現実になるという書物の話は古典なんだが、これは他者の死をもたらすノートという設定。
 淡々としたつくりで、あきない映画だった。
 まぁ、死刑を認めない、いわゆる「人権派」に対する苛立ちが導入ではあるんだが。。。
 「力」を手に入れれば、自らを顕示して世界に君臨するというパターンもあるが、主人公、夜神月は身を隠す。
 となると、アメコミによくあるように、持っている能力と装った社会生活とのギャップに苦しむパターンがあるんだが、そんなそぶりはまったくない。あるいは、自らが手に入れた力の強大さにおののくとか、代償を求められて自滅するというパターンもあるが、そうもならないようだ。
 更に夜月光は、恐ろしいことに、正体を隠すために、自分を愛してくれる恋人までも犠牲にする。このシーンは原作にはなく、映画で新たに付け加えられたらしい。ニーチェを読んでるシーンもあるし、善悪の彼岸に逝ってしまった超人として主人公を描こうとしている意図が見える。
 探偵との知恵比べとかあるし、ドストエフスキー罪と罰」、ラスコーリニコフの現代版だな、こりゃ。