輝いて生きる―ハンセン病国賠訴訟判決から10年

輝いて生きる―ハンセン病国賠訴訟判決から10年

輝いて生きる―ハンセン病国賠訴訟判決から10年

写真を拝見していると、ああこの方とも、この方ともお会いしてきたと、とても懐かしい気持ちになってくる。ソロクトや台湾の、お会いしたことのない方の写真もあるが、八重樫さんの写真展で見たことある方だなとか。「輝いて生きる」というタイトルのように、どの方の表情も生命力にあふれている。

ハンセン病刻倍訴訟判決から10年」
判決前後からだから、遅れて運動に参加したという負い目が私にはある。それが、長く関わってこられた八重樫さんと、それなりに同じ時間を共有させていただいたのだなという、ちょっとした満足感を味わう。

しかし「カミングアウトして、この写真集に登場した人たちは、全体からほんの一握りの人たちにすぎない。その背後には、名前と病歴を世間に知られる恐怖心を拭い切れず、表に出ようとしない多数のもの言わぬ人たちがいる。ほとんどの入所者は療養所の中だけで暮らし、退所者も社会で息を殺すようにして、生活している。家族にも、地域でも、自分の病歴を隠し通している。」(あとがきより)

名乗らずに生きていくのは当事者の選びであるけれども、富山出身の方は高齢となられ、とうとう故郷にお迎えできる状況にはなくなりつつある。力及ばずというか、無力感にも苛まれる。