機動戦士ガンダムTHE ORIGIN (10)

 「原案 矢立肇富野由悠季」とありますが、第9巻からアニメ世界の前史が描かれており、安彦良和さんの完全オリジナルストーリーになっています。ガンダムという作品全体を作ったのは富野さんで、安彦さんはキャラ作画を担当しただけという頭があるのものですから、ある意味アニメの内容にまで踏み込むような展開に、ここまでやってるよ!と、驚いています。
 クラウレ・ハモンに関して、わずかな戦力でホワイトベースをあと一歩まで追い込んだことから、優秀な軍師であるという評価がありました。第9巻では、その片鱗がうかがわれるように、大活躍させていました。そして、第10巻では、キャスバル・ダイクンシャア・アズナブルと入れ替わってジオン軍にもぐりこんだ経緯が創作されています。ここでおじさん、アラン・ドロン太陽がいっぱい」を思い出してしまいましたw
 それにしても安彦さんは、ミライ・ヤシマが、アルティシア・ダイクン=セイラ・マスであることを、最初から知っていたとしてしまいました。うーん、これはアニメの方とつじつまがあうのでしょうか? 詳しい方に教えていただきたいところです。
 こちらとしては、スターウォーズの新三部作を見ているような気分でうれしいのですが、こっちは安彦さんの世界、あっちは富野さんの世界と、冷静に考えなくちゃ混乱するんじゃないかということはあります。
 今日、初めて「ガンダムA」を立ち読みしたのですが、ジオンと連合の戦端をシャアが画策したみたいなことが書いてありました。おそらくシャアを、現実の満州とかの軍人と重ねて書いているんでしょうね。このあたり、「虹色のトロツキー」などを読んでみたいなと思っています。
 富野さんは、戦争の残酷さを伝えるためにガンダムを作ったといっていますが、シャアの凶暴さをあからさまに表現している安彦さんは、戦うことがけっこう好きな人じゃないかなと感じています。