森永卓郎新版 年収300万円時代を生き抜く経済学 (知恵の森文庫)

 私の住む富山にはテレビ朝日のキー局がありません。ですから森永卓郎という方のことはぜんぜん知りませんでした。とあるブログの書評をみて興味を持って読んでみたことです。なかなか個性的な趣味もお持ちのようです。他人のことは言えませんが。。

 小泉首相は「改革のために失業者が増えるのはやむをえない」と言う。一国の総理がそんな「凶暴な」せりふを言うのを私は初めて聞いた。
 これだけ庶民弾圧の政策を採れば、フランスなら必ずゼネストになるはずだ。
 ところが、日本国民は「一揆」を起こすどころか、ひたすら痛みに耐え続けている。失業している人にハローワークの前でインタビューしても、「改革のためには痛みは必要なんですね」と答える。その「痛み」を受けているのは自分自身なのに、怒りをあらわにしない、追い詰められても無限に「痛み」に耐えようとするのだ。行き着く先は「死ぬまで」耐えてしまうのである。こんな不幸があるだろうか。

 選挙。小泉さんは「国のための改革」という、上からの論理で政治をするタイプの政治家であることが、改めてはっきりしてきました。「お国のために」という大義名分に、わたしなんかも酔ってしまいそうになります。
 金持ちや官僚、セレブたちから金を搾り取られないために、競争原理から離れて、「逃散」する生活を、この本は勧めています。と、言うと、なんだか情けない感じがするでしょうが、そこにとどまらず、彼があえて「勝ち組」に混じることを拒否するという生き方を示そうとしているところに注目します。
 厳しいですが、そうでないと、実は、ほんまもんの「一揆」は起こせないんでしょうね。