福井晴敏亡国のイージス 上 (講談社文庫)

今日、映画を見てきました。
先日NHKBSでやった「アニメ夜話」で福井晴敏さんが「戦争とはどういうものか誰も教えてくれなかった。ガンダムで戦争を学んだ」と言っていました。そのコメントが興味深くてまず小説を読み、あとで映画も見たわけです。

そういう目で見てしまうもんですから、シャアとヨンファを重ねてしまいます。 重い過去と理想を背負っていて、人間的な弱みも抱えているんだけど、大量虐殺を狙ってる。
ガンダムだとフツーの学生が突然進化したみたいなアムロが、苦労人のシャアを簡単に上回ってしいまうのが面白いのですが、イージスだと、さえないおっさん仙石が超人ヨンファを倒してしまうところが、やっぱり面白い。

さて、原作は「日本人論」とか「赦し」であるとか、様々なテーマを扱っているのですが、そのなかでも映画は、「専守防衛」に問題を絞ったように思いました。
憲法第9条の下に、先制攻撃は許されないとしている自衛隊のあり方についての論議はずっと続いています。「イージス」というのは盾という意味ですが、三島事件の「盾の会」ってのもありました。アニメだとこのあたり、押井守パトレイバー2で取り上げてます。日本武道でも専守防衛ってのは結構、謳われてて、合気道などはまさにそうです。ヤングサンデー連載石川優吾格闘美神 武龍」が専守防衛を旗印とする拳法を描いたりしてます(そんな読み方してる方は、まずいないでしょうw)。
ためらうことでこちらが負けるという事実も、防御に徹するといってもいつでも攻撃に転ずることができる事も、しっかりとこの作品は描いていますが、それでも劇中で発せられる「撃つ前に考えるのが人間だろ」という言葉が、重いね、これが。