「ザ・ハリケーン」

デンゼル・ワシントン。この映画は9・11ジェネレーション ―米国留学中の女子高生が学んだ「戦争」 (集英社新書)に人種差別を学ぶ映画として紹介されていたので見たのですが、激しい差別が現実にあるからこそ、それと闘う人々を描く魅力的な映画が生まれるという矛盾がアメリカには厳然として存在するということですね。それにしてもボブ・ディランの「ハリケーン」はリアルタイムで聞いていたのに、その背景にこんなに苦難に満ちた人権回復・裁判闘争があったなんてことは、まったく知りませんでした。ホンマ、恥ずかしいことです。
私の中にある、アメリカが自由と平等の夢の国であるという幻想は、明治以来の欧米への羨望とか、敗戦とか、資本主義陣営の主として崇め奉ったとか、いろんな経過からきてるんだなと、このごろやっと自覚するようになりました。

見終わって、なんだかすっきりしました。逃避してズブズブになっていくパターンが多かったのに、なんだかやるぞという気分になったのは、珍しいことです。あと、デボラ・カーラ・アンガーという女優さんがすごくカッコよく見えました。ほとんど、惚れそうになりました。