サンタクロースって、だあれ?

サンタクロースって、だあれ?―その伝説と歴史をたずねて

サンタクロースって、だあれ?―その伝説と歴史をたずねて

「クリスマスの起源」とは、まったく違ったクリスマスに対するアプローチをしている本。
トルコの少年司教ニコラス(コンスタンティヌスと同時代の人物で関わりもあった)の伝説が、ヨーロッパ各地で土着の要素と結びついてさまざまなバリエーションを作り出すが、多くがプロテスタントにより廃絶させられる。
1822年、ニューヨークのクレメント・クラーク・ムーアが、多様に展開したニコラスを統合した「聖ニコラスの訪れ」という詩を作る。それが現在のサンタクロースであり、ヨーロッパに逆輸入される形で広まった。
筆者は、ニコラスとかけ離れ、アメリカ商業主義と色濃く結びついているサンタクロースに危機感を抱いている。

サンタクロースは今やその本体が何であるのかをめぐって危機にさらされています。かれは精神分裂症患者あつかいにされているのです。かれの多種多様な個性のうちどれが将来のクリスマスにおいて勝利を収めるのでしょうか。世代から世代へ、家族の者たちは子どもたちをサンタ伝説の世界へ引き入れ、1700年以上のあいだ、サンタは装いを変えて生き残ってきました。今やかれはおそらくその長い歴史の中で最大の危機に直面しているのも知れません。過去においてそうであったように、かれの未来は、次の来るべき幾世代かのあいだ、今度はわたしたちが造り出す社会の価値観を反映するものとなるでしょう。

「起源」の神学者は、クリスマスがキリスト教義を反映していると推奨する。映画制作者であるというこの著者は、コカコーラをあおるサンタに警鐘を鳴らす。実際、いろんな意見があるもんだ。