世界の中心で、愛をさけぶ

世界の中心で、愛をさけぶ スタンダード・エディション [DVD]

世界の中心で、愛をさけぶ スタンダード・エディション [DVD]

何度も途中で見るのをやめようかとしたが、とうとう最後まで見終わった。
泣かせるための映画、どうぜ臭い純愛映画と思っていたが、そうではなかった。生命感あふれる映像とそれが失われていく悲しい映像がコントラストをなして、その両方が上手に映えるように編集されている。冒頭から葬式のシーンから始まって、死が、忌み嫌われるもの、恐ろしいものとは描かれずに、一貫して日常の隣にすぐあるものとしてあるのが興味深い。舞台もオレのいるような田舎で、けっこう泥臭くて身近な感じがした。意外と、それが、受けたのかな。。。

このごろ見た「レイ」にしても、アメリカンヒーローものにしろ、「トラウマ」を取り上げているのが気になっていた。自分のために誰かを犠牲にしてしまった、殺してしまったという心の傷を抱えている主人公がハリウッドの映画には多くはないだろうか。ヒーローであり続けるには、常人にはありえないような潔癖さが必要だから、それを強いて志向させるような動機が必要と考えるのだろう。しかしながら、トラウマが良い方向に働くとしても、それでもその人の生き方は苦しく辛いように見える。

セカチューには「過去のこと、死んだ人間のことを、いま生きているものがどうこうできるわけではない。できるのは後始末でしかない」という考え方があるように思った。「後始末」というのは台詞そのままなんだが、とてもあっけらかんとした言葉だと思う。割り切り方というか、冷静さというか、そのあたりが日本映画っぽい気もする。