戦争と平和 それでもイラク人を嫌いになれない

戦争と平和 それでもイラク人を嫌いになれない

戦争と平和 それでもイラク人を嫌いになれない

 いま、自衛隊の撤退が始まっているわけだが。
 あの事件のときは、なにがどうなっているのかさっぱりわからなかった。マスコミしか見えてなかったし。それが、安心のファシズム―支配されたがる人びと (岩波新書)を読んで、行政府とマスコミの方向が一致してしまった「人質バッシング」のウラに、2chなど、インターネットの動向があったことを知った。
 この本の後半には、人質事件の直前まで高遠さんが運営し、報告していたBBSの書き込みが載せられている。あまり面白くないのでこちらは斜め読みしてしまったが、ネットとの接点を持ち、自分の活動や考え方を公開していたことが、バッシングを招いた一つの要因であろう思う。
 それにしても、拘束され、解放され、PTSDを病みバッシングを受けてどん底まで落ちるが、イラクの友人からのメールで再び活動を始めるという、当事者としての経験を記した前半は、現代の私小説だ。まぁ、すごい話だ。
 現在も続いているバッシング。その文脈は、いまだに読み取れない。