戦下のレシピ―太平洋戦争下の食を知る

斎藤さん、こういう分野もやるんだなぁと手に取ったが、最後まで興味深く読み終えた。
「婦人雑誌」に掲載される豊かなレシピが、魚粉、雑草の調理法、廃物利用へと変貌していく様を読んで、戦争の別の面の恐ろしさを知った。

戦争の影響で食料がなくなるのではない。食料がなくなることが戦争なのだ。その意味で、先の戦争下における人々の暮らしは「銃後」でも「戦時」でもなく「戦」そのものだった。

そういえば、高遠さんが書いていたが、経済制裁イラクストリートチルドレンを、悲惨な状況へと追い込んでいたという。
(これを、思い切って第一願の課題だといってもいいと思う。三悪趣(地獄・餓鬼・畜生)とは、社会参加の権利を手にしている私たちにとっては、戦争と貧困と人権侵害が絡んだ問題として捉えたほうが事柄が明確になるのであって、内面化して自己嫌悪→自慰で終わらせるのは避けたい。)
Little Birds -イラク 戦火の家族たち-綿井健陽監督がNHK「課外授業 ようこそ先輩」に出演したときの授業の趣旨がよく分からないと書いたが、平和な日常が、いつでも戦下に変わりうることを、教えようとされたのだなと思った。

戦争はぜったいにやっちゃいかんですよ。ぜったいに。