身体にきく哲学

身体にきく哲学    NTT出版ライブラリーレゾナント013

身体にきく哲学 NTT出版ライブラリーレゾナント013

 「私」が「私」であることを証明するものが、インターネットや携帯端末を介するデータ化社会においては身体についての情報になっている。これまで哲学においては精神の下位に置かれてきた身体が、それを凌駕しつつあるという状況分析からこの本は始まる。
 デカルト心身二元論を改めて読み直して、心と身体を厳密に分離してどちらが本当なのかというより、デカルトが両者が連絡を取る器官とした「松果体」を認めるたように、両者は重なっていると大らかに考えようじゃないか。。。というところまでは、なるほどと読んでいた。
 後半、筆者は呼吸法によって健康を回復したという経験を嬉々として記し、身体性の重要さを力説しはじめる。その辺りから、ちょっと、腰が引けてしまった。
 まぁ、人の思考の営みというものは、その肉体を離れてはないということを、本の内容より筆者の論調の変わりようから感じてしまったことでした まる