人を助ける仕事―「生きがい」を見つめた37人の記録

 江川さんの本は二冊目。
 オウム事件に関わった信者たちと同世代、わたしより少し若い世代が、福祉や、救急、介護などの仕事にたどり着いた経緯を記事にされたもの。(ちなみに江川さん私より3つ年上。そう違わない。)オウム事件はなぜ起きたか 魂の虜囚〈下巻〉 (新風舎文庫)も読み始めているが、信者たちはなぜ、無差別殺人という罪を犯すことになってしまったのか? この本に登場する若者たちとどこが違ったんだろう? インタビューをしながら江川さんも、そういうことを考えていたんじゃないか。
 読み進めているうち本の題名が気になってきた。
 「人を助ける仕事」?
 確かに福祉などは「人を助ける仕事」と言えるかもしれないけど、人を助けない仕事ってあるだろうか?
 仕事って、どこかで、人を助けてるものじゃないの?
 そもそも、オレのやってる仕事は、人を助けているだろうか?
 そうだよな。人を助けてるっていう自負みたいなものがないと仕事って続けられないんじゃないかな。
 そうだ。仕事をやる以上、オレは人を助けてる、救っているって自信みたいなものがなくっちゃいけないよなー

 とか、なんとか考えてたら、江川さん、「あとがき」でこんなことを書いていた。

 取材をしている間に頻繁に聞いたのは、自分がやっていることが「人を助ける仕事」と呼ばれることをためらう言葉だった。「自分の方こそ、この仕事によって助けられている」という人が、何人もいた。いくつかの挫折を越えて、老人ホームで社会福祉士は、お年寄りの世話をすることで、自分自身が支えられていると感じている。学生の悩みを受け止めるカウンセラーは、仕事を通して、真剣に生きようする人の姿に感動させられる、と語っていた。「お互い様」−日頃は忘れかけていたそんな温かい言葉が、彼らの言葉を聞くうちに心に浮かんできた。

 私、ひっくり返りました。江川さん、参りました。。。。