ジパング1〜3

ジパング(1) (モーニング KC)

ジパング(1) (モーニング KC)

 かわぐちかいじといえば「沈黙の艦隊」をリアルタイムで熱く読んでいたことが懐かしい(1988〜1996)。
 日本が密かに所有していた原子力潜水艦が、核ミサイルを積んだまま独自行動を展開する。最終的には国連軍に所属し、核抑止力によって国家間の争いを鎮め、世界平和を実現させていくという、壮大な話であった。
 このコミックスと小沢一郎日本改造計画」(1993)が類似していることを、ナショナリズム―名著でたどる日本思想入門 (ちくま新書)が紹介している。(戦後、西光万吉も同じような「和栄政策」を提唱していた)
 「沈黙の艦隊」は、1993年のカンボジアからはじまった自衛隊PKO派遣に影響を及ぼした、なんて話もあった。
 「ジパング」の方は、海上自衛隊イージス艦ミッドウェー海戦の只中にタイムスリップするというSF的設定から始まり、第3巻では山本五十六司令長官に撤退を進言してガダルカナルでの日米の戦いを阻止しようとするところで終わる。
 てっきり、あの惨めな敗戦をやり直してアメリカやっつけるという話だと思っていたのだが、読み始めるとそうではないようだ。
 「沈黙の艦隊」のように、圧倒的な力の出現によって、世界平和を過去に実現させてみせようという心づもりか。
 それともやはり歴史は変えられなかったという結末なのか。
 まったく違う世界を見せてくれるのか。
 少なくとも、現在の世界状況を踏まえつつ連載中。なかなか面白そう。