DEATH NOTE Vol.3
- 出版社/メーカー: バップ
- 発売日: 2007/02/21
- メディア: DVD
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60年代、70年代のアニメや特撮ヒーローは、ほとんどが単純な正義感の持ち主であった。その世界では勧善懲悪がはっきりと成立し、主人公たちはなんのためらいもなしに、悪人、怪人を懲らしめ続けていた。
1979年から始まったガンダムシリーズが、この二項対立を崩した作品の一つであることは、アニメ評論でしばしば論じられている。冷戦後のポストモダンという風潮のままに、善のなかに悪が入り込み、悪も善となる可能性を持った。
冷戦時代 善(主人公)・A←→悪・B
ポストモダン 善(主人公)・C←→悪・D
夜神月に一番近いキャラクターは、上の図だと(D)、ガンダムのシャア・アズナブルであると思う。ニュータイプ、人類の進化のために大部分の「旧人類」を虐殺することを厭わなかった人物だ。シャアが(A)の位置におさまってしまったのがデスノートという作品なのだと思う。
デスノート (夜神月 Aの位置におさまったD)←→(エル C)
夜神月は強烈に輝いている主人公だ。エルの方はやはり脇役。それは彼がポストモダンの曖昧な善人のままだからであろう。夜神がいかにも優等生の容貌をして生活しているのに対して、エルははっきりとした善人の姿を取らない、いかにも変人のように描かれている。
いかにも善人面した人物が、いかにも私は正義ですと、世の中を動かしているのが現代。
しかし、エルは「神の裁きを気取った、子どもじみたもの」と、敵の本質を見据えて挑んでいく。
いかにも、地味だけれど。