ジパング29
- 作者: かわぐちかいじ
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/05/23
- メディア: コミック
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自衛隊のイージス艦をミッドウェー海戦後の戦場にタイムスリップさせることで、日米戦争の結末とその後の歴史を変えられるか、試行するのがこの作品である。
やはり、かなり無理があると思う。満州やインド洋で陽動作戦を展開することでアメリカの太平洋進出を遅らせ、ヨーロッパからプルトニウムを持ち運びアメリカより早く原子爆弾を完成する。それを戦艦大和に積んで、マリアナ海峡で米軍の大部隊に特攻させる。。。 無理な話だ。
そこまで話が進む前に、当時の帝国の中枢にいた人物たちに戦争の顛末を見せて、早期講和を勧めるという場面がある。しかしながら米内光政は、日本人というのは痛い思いをしなければ、自分自身の弱さ愚かさに気づけないと、敗戦へと進む未来を変えようとはしなかった。木戸幸一内大臣は、戦前も天皇は実質、象徴でしかなく、戦争を遂行しようとしているのは「言論・マスコミの煽りに乗った国民世論」であるとして、未来を変えることは不可能であるとした。この漫画に登場する東条英機もまた、勝利は不可能と知りつつ、敗戦の日を一日でも遅らせるしかないと考えていたように描かれている。
だれがどうしたって、あの戦争を早期終結させることはできなかったのだという考え方が、この作品には背景にあるように思える。ここまでは。
しかし、本当に変えられなかったんだろうか?
休載がちではあるが、連載はまだ続いている。この作品の行く先に、私はまだ希望を持っている。
未来は変えられるんじゃないか??