あたらしい憲法のはなし

あたらしい憲法のはなし (小さな学問の書 (2))

あたらしい憲法のはなし (小さな学問の書 (2))

 日本国憲法公布の翌年(1947)に文部省が作った中学1年用の社会科の教科書。
 以下、印象に残った文を抜粋。

六 戦争の放棄
みなさんの中には、こんどの戦争に、おとうさんやにいさんを送りだされた人も多いでしょう。
こぶじにおかえりになったでしょうか。
それともとうとうおかえりにならなかったでしょうか。
また、くうしゅうで、家やうちの人を、なくされた人も多いでしょう。
いまやっと戦争はおわりました。
二度とこんなおそろしい、かなしい思いをしたくないと思いませんか。
こんな戦争をして、日本の国はどんな利益があったでしょうか。
何もありません。
ただ、おそろしい、かなしいことが、たくさんおこっただけではありませんか。
戦争は人間をほろぼすことです。
世の中のよいものをこわすことです。

七 基本的人権
くうしゅうでやけたところへ行ってごらんなさい。
やけただれた土から、もう草が青々とはえています。
みんな生き生きとしげっています。
草でさえも、力強く生きていくのです。
ましてやみなさんは人間です。
生きていく力があるはずです。
天からさずかったしぜんの力があるのです。
この力によって、人間が世の中に生きてゆくことを、だれもさまたげてはなりません。
しかし人間は、草木とちがって、ただ生きてゆくというだけでなく、人間らしい生活をしてゆかなければなりません。
この人間らしい生活には、必要なものが二つあります。
それは「自由」ということと、「平等」ということです。