親鸞の世界

親鸞の世界 (1964年)

親鸞の世界 (1964年)

 先日 福井のお同行さんから 聖人700回御遠忌の記録LPレコードを録音したものをいただいた
 法要や講演会 行事などが収録され 多彩な内容 貴重な史料である
 そのなかに御遠忌記念講演が収録されており 金子大栄、曽我量深、鈴木大拙の肉声を初めて聞くことができた
 そういえば 大谷大学入学時に贈られた(いまはどうだろう)「親鸞の世界」に入っている講演だった
 改めて聞いてみると 米ソ冷戦の只中であり 国を揺るがす安保闘争があった翌年(1961 私が生まれた年)の収録なのだから 日本はこれからどうなるのだろうという不安感 お念仏になにかを聞いていこうという危機感のようなものが 講演や参加者へのインタビューに色濃い 時代を感じる
 この御遠忌を経て「家の宗教から個の自覚の宗教へ」同朋会運動が始まり 大谷家と改革派が対立する教団問題が勃発 教団自体が激動の時代を迎えるわけだ
 そのなかで 曽我量深の講演「信に死し願に生きよ」だけは なにか違う感じがする 信の一念に 迷いの生が終わり 本願に生きようという 新たな生が始まるという講演は 浮いているというか 時代を超えているというか 甲高い肉声でなにかを訴えかけてくれる インパクトを感じさせてくれる
 さて 今度は我われが やはり混沌とした時代のなかで 3年後に聖人750回忌をお迎えする