ガラスの仮面 (第19巻)

ガラスの仮面 (第19巻) (白泉社文庫)

ガラスの仮面 (第19巻) (白泉社文庫)

主題が演劇なんだから当たり前だが その時々の課題劇が 劇中劇のように組み込まれていて 作品のストーリーと微妙にシンクロしている
そして この巻に取り上げられている狼少女ジェーン
かつて林竹二などが 人間は生まれながらに人間なのではなく 環境によって人間として育てられる社会的動物であるということを 証明する事例としてとりあげた事件
久しぶりにこの話を読んで 人間と動物との違いってなんだろうと 考えてしまった
人間と動物 その残忍さ 残虐さ どこが違ってるんだろう
人間らしさってなんだろう
コミックのなかでは 主人公が 野生のジェーンを演じられず 山に篭り 動物性を体感し身に付けるのが見せ場になっているだが こちらとして興味がわいたのが 逆に 野生から人間へと変わるとはどういうことか 動物と違う人間らしさというものはどのように描かれているのかという点だ
基本的には 彼女を人間にしようとする研究者スチュワートに「愛情」を抱いたというのが 変わり目だということになっているようだ
そこはまぁ 少女漫画ならではの意見とも言えるが これも面白い考え方だ
進化の過程で 動物が人間になったのはいつなのか
人間らしさとはなにか 今 この時代だからこそ 改めて難題になっていると思う
そう違いはないのかもしれない しかし 違うことにしておかなければ 人はなんでもやってしまう
そこのあたりが社会的動物ということかもしれない