聖☆おにいさん 3

聖☆おにいさん(3) (モーニング KC)

聖☆おにいさん(3) (モーニング KC)

メガネをかけたブッダの顔は かなりシュールなのだが
3巻目ともなると なじんできてしまって 最初見たときのインパクトは薄れてきたような気がする
しかし ブッダとキリストを現代社会によみがえらせるとして
彼らを いわゆる「草食系男子」としたのは この作品のミソなのだと思う
質素なアパートで こじんまりと 穏やかに暮らす
熱血とか情熱とか 出世とは縁がなく 着飾ることもなく 女性にあまり興味がない
もちろん欲はあるのだけども それもささやかなもので
贅沢ということには 常に警戒している


こうした生き方をする人の系譜は 仏教と関わってこれまでの日本の歴史にもあった
まさに「聖(ひじり)」なのだ
しかし 彼らは明治維新から敗戦にいたる富国強兵のイデオロギーによって存在を否定され
戦後は高度経済成長の掛け声によって 蔑まれ かき消されていた


こうした若者を 覇気がない 元気がない もっと欲を持てと
世間は今も否定してばかりいるが もっと評価してもよいように思うのだ
むしろ 右肩上がりの経済成長にしがみついて 
一人一人の生き方を許さない 窮屈な国家優先社会ニッポンへ
「草食系」の再来は なにかメッセージを伝えようとしている?