掃除当番―武富健治作品集
- 作者: 武富健治
- 出版社/メーカー: 太田出版
- 発売日: 2007/03/01
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 3人 クリック: 28回
- この商品を含むブログ (61件) を見る
「鈴木先生」が書かれる過程 例えば「ポケットにナイフ」
小川蘇美というキャラクターの前史が読めて面白かった
それにしても「掃除当番」である
「聞き分けがよい」「素直」「問題を起こさない」「おとなしい」というレッテルが
放置 責任の押し付け 義務の増大といった
強い抑圧を与えることになるというメッセージが込められている
その役回りを演じるならば なにも吐き出すことはできなくて
本人の本当の苦しさ 虚しさ 孤独感は解消できるものではない
かつては まわりの家族や友人がそれを補完できていたが
今 それはうまく作用していない
その原因は鈴木先生 5 (アクションコミックス)ではこのように分析されている
不良や落ちこぼれと 呼ばれる者たちの 荒れる原因の一つとして
優等生やいい子への 恨みや憎しみがあるのと 全く同じに
順調に見える生徒にも 問題児に対しての 妬みや口惜しさがあって
それらが彼らの持つ 思いやりの心を スポイルしている
現代社会において「人間関係が希薄になっている」として 一律に捉えられている問題なのだが
それだけでは分からないことが多い じっくりと考えてみたいと思っている