蟲師 (3)

蟲師 (3)  (アフタヌーンKC)

蟲師 (3) (アフタヌーンKC)

評価の高い作品だが 最初読んだときはピンとこなかった
BSで放映されていたアニメがなかなか面白かったので 再読してみた
主人公ギンコというキャラクターがとても興味深い
二巻「雨がくる虹がたつ」において 虹を探し続ける男との会話

「何か生きるための目的をつくらにゃ 『ただ生きてく』ことすらできねえ」
「目的 ね」
「お前は 目的もなく旅をしていると言ったな まぁ 何か理由はあるんだろうが
 旅をしてくのも楽じゃぁない 目的がなくても 旅を続ける気になるものか?」
「そりゃ たまに やすみたくもなる そういう時 こうやって 目的を作る
 そうすれば こうやって余暇もうまれるだろ
 『ただ生きる』ために生きてるぶんには 余暇ってもんがないからな」

この後 ギンコは 目的に捉われて 欺瞞と自虐で生きることの不毛を説く
この会話には驚いた
蟲師と似ている作品として手塚治虫どろろ」などを連想していたのだが
それとは正反対 定まった目的を持たないキャラ 珍しくないか?
彼の生き方は コレクターや芸術家のそれに近いものがある
しかし やはり ただただ旅をしているだけではない
三巻「眇の魚」ギンコ誕生の物語にあるように
悲しみに沈んで行こうとするものに 最後の最後まで付き添おうとする
生きることを諦めさせまいとする優しさも 彼の大切な気質なのだと思う