学歴・階級・軍隊―高学歴兵士たちの憂鬱な日常

非常に難しい本だった
著者が前提としている一般兵士関連の書物を ほとんど読んだことがないからだろう
戦場の兵士たち 学徒出陣を余儀なくされた若者は なにを考えていたか だが
愛国心に燃えていたとか 反戦厭戦を心に秘めていたとか
後世の我々は 様々な解釈をするわけだが
筆者の研究によって あぶり出されてくるのは
人間 そんなイデオロギーや思想で生きているのではなく 
打算 恐怖 体面 見栄といった 普通にそこにある心情があるだけで
それ以上でも それ以下でもないということだ
その意味で 右翼左翼 両者が 失望を促される書ということになろうか


今もエリート教育は盛んで この国を動かすのはオレたちだと自負し
鼻高々に官僚 経済人 文化人になっている学閥みたいなものはあるのだが
彼らは 学徒兵のような 普段見下している「階層」からいじめ尽くされるという
屈辱的で鬱屈した経験がないから あんなに無邪気に新自由主義 核武装論に進むのかなぁ
その辺りの違いはないのか 書いて欲しかった