ニュータイプ・敦煌・南無阿弥陀仏
- 作者: 氷川竜介
- 出版社/メーカー: キネマ旬報社
- 発売日: 2000/06/01
- メディア: 単行本
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「宇宙世紀の歴史が動いた」がとても面白かった
そのなかでも最終日 リュースケ・ヒカワのニュータイプ定義を興味深く聞いた
過酷な宇宙空間では 隣人の死がそのまま自分の死につながる
そうした環境にあるからこそ 人と人との関わりというものが大切であるから
ニュータイプというのは新たな概念というより 絆の喪失が叫ばれる現代に対する批判
そして「回帰」と考えたほうがよい というような 内容だったように記憶している
ウィキペディア「ニュータイプ」にも「原作者が新たに見出したニュータイプの結論」として
以下の引用がある
富野は今まで結論の出せなかったニュータイプというテーマに対し、2005年・2006年に発表された劇場版『機動戦士Ζガンダム』(新訳Ζ)において「真のニュータイプとは、今までのニュータイプ論で描いた精神的な共感に加えて肉体的な体感を持ち、それらを隣の人を大事にするために活かすことができる人である」という隣人愛の結論を描き、新訳Ζのカミーユ・ビダンこそ究極的なニュータイプと発言している
その意味では ガンダムというのは
ニュータイプを超人思想と捉えるか それとも隣人愛への回帰と考えるのか
思想的対立の物語と言えるのかもしれない
ふと 映画「敦煌」を思い出す
- 出版社/メーカー: 角川映画
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そこで戦乱と愛憎が繰り広げられ続ける
そのなかで 守るべきものはなにか というのがあの映画のテーマであった
- 作者: 礪波護
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七世紀初頭、隋から唐初にかけての中国社会で、無量寿仏の名が阿弥陀仏の名におきかえられていく様相の一端が、これらスタイン本敦煌写経跋から、うかがえるわけである。
p99
仏説観無量寿経 下品下生の「称南無阿弥陀仏」文言は 訳者が選んだというより
書写生が「称南無無量寿仏」から変えていったというのがよいのだろう
しかし なぜ変えたのであろうか
敦煌という民族の愛憎が交差する都市において
下品下生 罪悪深重の者が発するのは 漢民族だけに通じる意訳の言葉ではなくて
あらゆる民族が称えるところの 原典の音訳にすべきだと 考えた人がいたのかもしれない