琵琶法師―“異界”を語る人びと

琵琶法師―“異界”を語る人びと (岩波新書)

琵琶法師―“異界”を語る人びと (岩波新書)

ミニDVD付の新書というのが珍しくて購入した
平家物語」が源氏の武勇伝として室町幕府江戸幕府に利用されたこと
江戸時代には被差別民を統べる弾左衛門の配下に組み込まれることに葛藤があったこと
近世からは三味線に代わられることで琵琶法師が消えていくこと
それぞれに 興味深い史実であった


しかし この本の主題は 安徳天皇の入水をモチーフとした
母子の受難物語として琵琶法師の説教を読み解くところに焦点がある
天皇家に象徴されるように 父を神聖なるものとして保ち
対照させるようにしてそれ以外の構成員に 苦悩の人生を歩ませるという物語
著者はここを 一つのロマンとして読んでいくわけだが
私には理不尽な父権の強要として読めてしょうがなかった