クリスマス―どうやって日本に定着したか
- 作者: クラウスクラハト,克美・タテノクラハト,Klaus Kracht
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1999/12
- メディア: 単行本
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キリスト教そのものは、欧米への接近を望みながらも天皇の神格化政策(絶対君主から現人神へ)を図る明治政府と対立してしまったので、教義ではなく一つの年中行事としてのクリスマスだけが特化して受容されたという感じか。しかし、日本におけるクリスマス行事の定着の要因は、単なる商業主義とかアメリカへの憧れといった「俗」と貶められる側面だけでは捉え切れない広がりがある。終章だけをまとめると
- キリスト教伝来以前からあった冬至という年中行事や、、厄払いに似た清めの感覚とか、旧来の年中行事を新しく再編する動きの一つ(クリスマス自体、キリスト教以外の民間信仰と大きな接点を持つ)
- 親戚と交流する正月の前に核家族が家族愛を確認するとか、男女対等の愛の象徴、慈善といった社会への愛。「愛」を象徴する
- クリスマス休戦の「平和」とか、サンタの貧困に対する贈与といった、よい人間になろうという改心を促す
ということで、しっかりとクリスマス・カルトに取り込まれていたオレであった。
仏教徒としてこのテーマについて少し、マジメにとっかかろうとしたのだが、実によい本に当たった。絶版みたいなので古本を注文。