街場のアメリカ論
- 作者: 内田樹
- 出版社/メーカー: NTT出版
- 発売日: 2005/10/13
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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さて、トリノオリンピックでちょっとビックリしたことがありました。それは、女子フィギュアアメリカ代表、サーシャ・コーエン選手がショートプログラムでロシア民謡を使ったことでした。確かに雪と氷のイメージというか、文化の力というか、アイススケートにロシア民謡はとても合っています。今回も色々な国の選手がロシア民謡を使っていました。まぁ、米ソ冷戦の時代からいまだに頭が切り替わっていない私の感覚がおかしいというのが本当です。
そして、サーシャ・コーエン選手は名前からしてもスラブ系かロシア系のように見えます。井上怜奈選手もアメリカ代表になっています。アメリカは民族国家ではないということ、才能を持つならあらゆる人を受け入れていこうとする力をもっているということを、女子フィギュアを見ていて、改めて実感したことでした。シャラポア然り、大リーガーたち然り・・・
かつてはソ連もそうだったのですが、様々な民族と宗教が同居しているのがアメリカという国です。新しい移民の国ですよね。だから国内に様々な問題を抱えていますが、それでもなんとかまとまってやっています。アメリカが、民族や宗教対立を無視して世界の番人のように振舞うことを、私も批判しますが、アメリカはアメリカなりになんとかやっていて、彼(彼女)らは、ウチではうまくいっているのに、なんで隣はうまくいかないんだろうと、思っているのではないでしょうか。おそらくあの国の内にいるのと外にいるのでは、世界がまったく違って見えるのではないか。彼(彼女)らのやっていることを、ほんとうに「勘違い」と言い切れるのかしらと、ふっと考えてしまいました。
アメリカ贔屓に成り果てているのかもしれません。しかしながら、少なくとも、「単一民族」という可笑しな神話に乗っかって、人種的に同起源としか見えようのない中国、韓国の人々に対して、延々と対立の火種を巻き続ける日本の偏狭さ(この本には東アジアがまとまらないよう、アメリカに操作されているあります。そうかもしれない。)に比べれば、まだましなんじゃないかと、どうも、思わざるをえないのです。
本の内容と、直接には、関係のない話になってしまいました。