海を飛ぶ夢
- 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
- 発売日: 2005/10/05
- メディア: DVD
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さきに原作本「海を飛ぶ夢 (翔年たちへ)」を読んでいました。その雰囲気とはかなり違って、家族、恋人、友人と、彼を取り巻く人々のドラマも描かれていました。
印象に残ったのは、主人公が死を望んだ理由が、自殺権といった理論だけに依ってはいないということです。年老いた祖父に「役に立たない」と陰口をたたく甥を、注意するシーンがあります。「俺たちはお前の奴隷だ」と、世話になっている兄に怒りをぶつけられるシーンもあります。家族は彼のことを愛しています。家族だからこそ、こうした本音もまた言えるのですが、打ちのめされる彼の気持ちもよく分かります。こういうのを「構造的暴力」と言ってもいいんでしょうけどね。
一人、うまく理解できない人物が登場します。尊厳死協会の女性会員なのですが、自殺を望む人には生きなさいと諭し、彼の自殺のアドバイスをもし、同時期に出産もします。理論的なことは置いといて、この人の行動に一貫性を見出せない私ですから、いまだ尊厳死にはすんなりとうなづけていません。