ホテル・ルワンダ

 この映画の主人公は、あきらかに子どもたち。
 冒頭、ホテル支配人の息子が返り血を浴び、怯えて動けなくなって発見される。映像化はされなくても、観客は映画を見ているあいだ、常に「鉈で殺される子ども」のイメージに晒される。そして支配人がどのようにして子どもたちを守りぬいたのかに夢中にさせられる。そこのあたりが、非常によくできている。
 政治的プロパガンダによって巻き起こされる人間の狂気、それを見てもなにもしようとしない大国の非情さが浮き彫りにされる。もちろん、私もまた、ルワンダ虐殺のニュースを知りながら、何もしなかったことを告発された。恥ずかしい。
 富山の小さな映画館のあちこちですすり泣きが聴こえた。私も一緒に泣いていた。