ヒトラー ~最期の12日間~

ヒトラー ~最期の12日間~ スペシャル・エディション [DVD]

ヒトラー ~最期の12日間~ スペシャル・エディション [DVD]

 見始めてすぐに、映画の雰囲気が「白バラの祈り―ゾフィー・ショル、最期の日々」と、とてもよく似ていると思った。同じベルリン、ナチスがつくったオリンピア調の建築物と、地下室のように窓がない建物が舞台になっているということもある。が、同じ場所、同じ時代に、まったく正反対の思想をもった二人の人物をそれぞれ取り上げた映画を見た、ということになる。
 ゾフィー・ショルがナチスによって処刑されたのは1943年2月22日。ヒトラーが自殺したのは1945年4月30日。
 強者が弱者を殺戮してなにが悪いと主張し、実行した国家をつくった人々が敗れ、弱者となって滅んでいく最期は、実に哀れだ。
 ゲッペルスの妻が、6人の自分の子どもたちに毒薬を飲ませて殺害するシーンなど、もう、とにかく、哀れというか、愚かとしか言いようがない。
 映画の最後に原作「私はヒトラーの秘書だった」を書いたトラウドゥル・ユンゲ本人が登場し、我々に語りかける。

ニュルンベルク裁判で恐ろしい話は聞きました。600万人のユダヤ人や人種の違う人々が無残に殺されたと。これらの事実は大変ショックでした。でも私はそれを自分と結びつけられず、安心していたのです。“自分に非はない”“私は何も知らなかった”そう考えていました。でもある日、犠牲者の銘板を見たのです。ゾフィー・ショル。彼女の人生が記されていました。私と同じ年に生まれ、私が総統秘書になった年に処刑されたと。その時私は気づきました。若かったというのは言い訳にならない。目を見開いていれば気づけたのだと。

 金言。