あさきゆめみし

あさきゆめみし 美麗ケース入り 全7巻文庫セット

あさきゆめみし 美麗ケース入り 全7巻文庫セット

 人間関係が複雑でだれがだれのなんなのかさっぱり分からなくなったりしましたが、第三巻ぐらいまでいくと、かなり追えるようになりまして。そのあたりからはまってしまい、最後まで一気に楽しんでしまいました。
 受験勉強で源氏物語はパラパラと読みはしましたが、そのころのおぼろげな知識が、こんなものすごい大河ドラマだったのだと、40半ばではじめて分かりました。紫の上が亡くなるシーンでは、思わず涙が出てしまいました。
 紫式部、スゴイ。ホンマ、すごすぎます。
 この頃、ただの強烈マザコン男だと酷評されるばかりの光源氏ですが、確かに、フェロモンを撒き散らし、母の面影を追ってそこらじゅうの人々を巻き込んで苦しめていく彼の生涯は、迷惑至極。煩悩を一身に請け負って、男の愚かさを見せつけてくれてます。そして栄光と欲望の限りをつくした彼が晩年に三の宮に裏切られる展開、紫式部、なかなかやるもんだと思いました。
 それにしても、浮舟のように他者に依存するドロドロの恋模様をドロップアウトして、自立して仏道を歩みはじめるのがこの物語の到達点だとすれば、このマンガでは男性が出家するシーンが一つも描かれなかったのはどういうことなのでしょう。いささか不公平ではないか。異性に抗議したくもなったりして。