肉体不平等―ひとはなぜ美しくなりたいのか?

肉体不平等―ひとはなぜ美しくなりたいのか? (平凡社新書)

肉体不平等―ひとはなぜ美しくなりたいのか? (平凡社新書)

 健康について意識して考えるようになったこの頃、じゃあオレはどういう肉体状態になればよいのか?という、漠然とした不安を抱いていた。そういうもやもやとした状態の今、この本を見つけてられてよかった。
 「男性も美に翻弄される」ようになった状況と原因が取り上げられている。第三次産業が肥大した日本社会ではサービス業の需要が大きく、それによって外見の美しさがより求められているということだ。

 私たちは、市場経済の競争原理にさらされて生きている。そこでは、能力のないものは淘汰される。この能力には、「身体の魅力」「身体の価値」が含まれている事は公然の事実であるが、そのことはあまり語られない。私たちが市場経済で生き残るためには、「普通の身体」のままではいられない。もっと健康に、もっと美しく、もっと立派に見せないといけない。身体のどこかに魅力がないと、幸福への機会は永遠にこないという見えない重圧、暗黙の合意がある。

 こうした問題を、三島由紀夫中村うさぎ乙武洋匡といった、身体にこだわりを持つ人々の著書などを分析しつつ論じていく。そして最後にはイラク戦争とクローン技術問題に言及するという、意外な展開の本だった。
 好感を持ったのは、「人は見かけじゃなくて心」だとか、「あなたはあなたのままでいい」といった方向には結論を導かない事だ。

ここにはないが、どこかにある、いつか手に入るという理想の身体イメージを振り払い、自分の、その肉体の可能性に賭けること、それが身体コンプレックスとつきあう方法である。

 ということで(?)、筋トレとストレッチを続け、腹のぷにぷにをマイペースで絞ろうと、あらためてボクは決意したことでした。

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