裏界線

裏界線

裏界線

 音楽というと、希望とか、勇気とか、癒しとか、優しさとか、友情とか、愛情とか。
 そんな事柄を讃えるものじゃなかっただろうか。

 ところが、このアルバムは、マイナス指向の言葉にあふれている。
 「苦しい」「心細い」「空しい」「憎らしい」「できない」「さえない」・・・

 アルバムの最後に収められた「卑怯者」。
 優しさも、思いやりも、強さもない。
 ただ倒れないように歩んでいくことが、自分自身になっていくことであると。

 こうした歌詞を、彼女はピアノの強い響きでもって、しっかりと謳い上げる。
 そこが、なんだか、スゴイ。

 繰り返し繰り返し、聞いている。