越後の親鸞聖人

[著者名] 大場 厚順 [書籍コード] 000761 [価格] \250 [ISBN]978-4-8341-0380-9 C0015

最新の研究成果を踏まえ
史実についてはっきり言えることだけを話されている
以下はいわゆる教行信証「後序」について

 また、「非僧非俗(僧にあらず俗にあらず)」という言葉も大切ですね。普通ならば「俗」です。当時の法律では罪名・藤井善信ですが、親鸞聖人はそれに甘んじないのです。それが「非僧非俗」という言葉で力説し、弾圧に対する聖人の態度は、弾圧されたまま生きることではなく、そこにあるのは、自分が法然門下の念仏者であるという自覚と、為政者に対する怒りと抵抗でしょう。
 その上に「禿」の字をつけたところにも意味があると思います。これは親鸞聖人の弾圧に対する抵抗でしょう。
 さらに「禿」の上に「愚」をつけたことにも意味があります。もともと、親鸞聖人は法然門下の時代に「愚」を自覚しているのでしょう。「愚」というのは法然の正しい継承者の表れだと思います。それで「非僧非俗」「愚禿釈親鸞」という名前が出てくる。そこに聖人が越後に流罪となった意義を見出せると思います。

教信沙弥のように民衆のなかで生きていくことに憧れていた聖人
流罪を契機にそれを実践することができたのだと話されている
逆説的だが興味深い